弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、自動車事故の示談交渉や訴訟等にかかる弁護士費用や法律相談費用を補償するもの。(あらかじめ保険会社の同意を得たうえで支出した費用に限られます)
事故相手との示談交渉等を保険会社ではなく弁護士に任せたいという時や、保険会社が示談交渉ができないようなケース等で使うことができる特約になります。
「保険会社に示談交渉はやってもらうから、この特約はいらないのでは?」と考える方も多いとは思います。でも実はそうもいかないケースは多いため、この弁護士費用特約はできるだけ付帯することを当サイトではおすすめします。
ということで、以下でその理由について説明していきましょう。
<目次>
- 示談交渉は保険会社がやってくれるのでは?
- 弁護士法の関係で保険会社が示談をできない
- 無過失主張してしまうと保険会社は示談交渉できない
- 車対車の事故のうち39%が追突事故
- 保険会社は弁護士を紹介してくれるのか
示談交渉は保険会社がやってくれるのでは?
自動車保険に加入していれば、万が一の事故のときは保険会社が示談交渉してくれるので、弁護士費用特約なんていらないのでは?そう思った方もいるのではないでしょうか。
でも実は、自動車保険に加入していれば、事故のときはどんなときでも示談交渉をしてくれるわけではないのです。
あくまでも示談交渉サービスというのは、
「対人賠償」と「対物賠償」についているサービス。
これらの保険を使うようであれば、示談交渉はもちろんのこと、万が一、示談交渉がまとまらずに裁判になってしまった場合でも、その裁判費用は保険会社が負担してくれます。
でも、これらの保険を使わないような事故のときには
残念ながら保険会社は代理で示談交渉をしてはくれないのです。。。
では、具体的にはどんなときに保険会社が示談交渉を行ってくれないのかというと
「相手の過失が100%」の事故のときになります。逆に言うと「あなたの過失が0%」の事故。
完全に被害者で対人賠償保険も対物賠償保険も使わない事故になりますね。
- スーパーの駐車場に停めていたら、他の車にぶつけられてしまった。
- 信号待ちで停車中に後ろから衝突された。
- 直進中に対向車線の車がセンターラーンをオーバーして衝突してきた。
こういった場合、相手の過失が100%になることが多いのですが、
相手との示談交渉を保険会社が代理で行なうことができないんです。
そこで、そんなときのために弁護士費用特約が必要となってくるのです。
もちろん自分で示談交渉をするというのであれば、弁護士を雇う必要はありませんので、
この特約は不要なのですが、なかなかそういう人って少ないですよね。
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弁護士法の関係で保険会社が示談をできない。
相手が100%悪いときは、示談交渉してくれないなんて、保険会社ってかなり冷たいな〜って思うかもしれません。
でも実は、弁護士法の関係で示談交渉をすることができないのです。
もし相手の過失が100%の事故なのに、こちらの保険会社が示談交渉をしたとすると、弁護士会から「それは弁護士法72条に違反している!非弁行為!」ということで訴えられてしまうのです。
実は、この件では保険会社と弁護士会との争いがあって、対人&対物賠償を使用しない場合は示談交渉を保険会社はやらないということで、過去に話がついているという背景があるのです。
無過失主張してしまうと保険会社は示談交渉できない。
例えば、あなたが交差点を走行中に他人の車との接触事故を起こしてしまったとします。
こういった事故に関しては、信号無視でない限り、双方に過失が生じる事故となるので、保険会社は示談交渉を代理でしてくれます。
でも、あなたが「突っ込んできたのは相手のほうだから自分はまったく悪くない!」と、
いわゆる無過失主張をしたとすると話は別です。
保険会社は、あなたの主張を通すことができなくなるわけです。あなたに少しでも過失がある場合でないと示談交渉ができませんし、仮に相手と交渉して、あなたの無過失を勝ち取ってしまうと弁護士会に訴えられてしまいますから。
よって、あなたが無過失主張をする限り、保険会社は示談交渉を代行することができないのです。
もちろん、その主張を撤回すれば、保険会社による示談交渉は可能になりますけどね。
関連記事:交通事故の過失割合は誰が決めるのか
車対車の事故のうち42%が追突事故
平成26年の自動車事故データによると、車同士の事故のうち、なんと約42%が追突事故なのだそうです。
追突事故というのは、止まっている車に後ろから衝突してしまったり、前を走行中の車にぶつかってしまうような事故のこと。
普通はこういった追突事故の場合、追突したほうの過失が100%となります。
これを聞いて心配になる人も多いのではないでしょうか。
もし自分が追突された側であったら、保険会社は示談交渉ができない状況。
そんな事故が全体の4割を占めるんですよね。
それを考えると、弁護士費用特約は必ずつけておいたほうがいいのではないかと思います。
ほとんどの保険会社でこの特約はあるはずですので、見積の際には付帯を希望しましょう。
もちろん、私も自分の自動車保険には付帯しています。
万が一、タチの悪い人に追突されてしまったら大変ですからね。
弁護士を紹介してくれるのか
いざ弁護士に依頼するような事態になってしまったとしても、
知り合いの弁護士がいるとか、日頃から弁護士とやり取りがある人なんて少数派。
ですが、弁護士費用特約を使用して弁護士を雇うときには、
保険会社からは、自分で弁護士を探すよう案内されると思います。
今はインターネットを利用すれば、簡単に見つけられますので、
依頼する弁護士が決まり次第、速やかに保険会社に報告しましょう。
もし何か事情があり、自分で弁護士を探せない場合は、
保険会社の事故担当者に相談するといいでしょう。
最終更新日:2022年9月4日