交通事故だと健康保険は使えないのは本当か
交通事故だと健康保険は使えないという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。また、実際に交通事故でケガをして、病院から健康保険は使えないと言われたことがある人もいるかと思いますが、これって本当なのでしょうか。
結論から言いますと、
交通事故によるケガの治療に、
健康保険を使うことはできます!<注1>
どうやら病院によっては、交通事故の場合に健康保険を使わせないようにしているところがあって、こういった噂が広まってしまっているようなのです。
ではなぜ病院は健康保険の適用を拒否しようとするのかと言うと、健康保険適用で治療するよりも、自由診療扱いにしたほうが儲かるからです。自由診療って病院が治療費を設定できますからね。<注2>
昭和43年10月に旧厚生省(現厚生労働省)から出されている下記の通達もありますし、昭和60年6月28日に大阪地裁で、「社会的に非難されるべき特段の事情がないかぎり交通事故被害者は健康保険での治療が受けられる」とした判例もありますので、間違えありません。
今だに健康保険が本当は使えることを知っていて、使えないと嘘をつくような病院もあるといいますし、なかには単純に健康保険は交通事故では使えないものと勘違いして、そのように運用しているところもあるようです。
自分に過失がなければ、相手に賠償能力がない場合を除いて、健康保険を使っても使わなくても治療費は相手が全額出すので関係ないのですが、自分に過失があり治療費の自己負担が生じる場合は健康保険を使ったほうが負担額が小さくなります。
もし健康保険を使いたいのに、交通事故では使えないと病院に言われた場合は、窓口担当者が単に知らないだけかもしれませんので、交通事故でも健康保険は使えるはずだという主張をするとともに、「第三者行為による傷病届<注1>」を提出する意思表示をしましょう。万が一、それでも使わせてくれないのなら、健康保険の窓口に連絡しているといいでしょう。
<注1>
業務中の事故の場合(労災保険が適用)や、飲酒運転や無免許運転などの法令違反を犯していた場合は、交通事故でケガをしても健康保険は使えません。
また加害者がいる事故の場合、「第三者行為による傷病届」という種類の提出が必要となります。この書類を提出することで、本来は加害者が負担すべき治療費を健康保険で一時的に立て替えて、後日健康保険側から加害者に請求するという方法を取ることができるのです。
<注2>
儲け主義で健康保険を使えないというのではなく、ケガの状況に応じて、健康保険の対象外となる治療法での対応がベストだと判断して、自由診療を選択する場合もありますので注意。
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最終更新日:2017年10月19日