人身傷害保険とは
人身傷害保険とは、事故により契約車両に搭乗していた人が
ケガ・死亡してしまった場合に、約款上の規定に従って実際の損害金額を計算し、
契約時に定めた保険金額の範囲内で支払う保険です。
<目次>
被保険者(補償対象になる人)
契約車両の正規の乗車装置、またはその装置のある室内に搭乗中の者
(隔壁等により通行できないように仕切られている場所に搭乗中の者を除く)
搭乗者傷害と同じで、契約車両に搭乗中の人が補償対象となります。
ただし、壁で仕切った車両後部の荷物を置くスペースや、トランクの中にふざけて入ったりして走行中に事故でケガなどをしても対象外ということですね。
またこの2つの場合も対象外となるのも搭乗者傷害と同じです。
(1)極めて異常かつ危険な方法で被保険自動車に登場中の者(2)業務として契約車両を受託している自動車取扱業者
箱乗りをしていたり、サンルーフから体を完全に出して座るなど、危険な乗り方をしていたら対象外。そして、ガソリンスタンド、車の修理工場、車のディーラーなどを自動車取扱業者と呼び、契約車両を預っているその業者が事故を起こしても対象外ということです。
例えば、ガソリンスタンドで給油のついでに洗車を頼み、スタンドの店員が洗車機に入れるために運転中に事故を起こしてケガをしたとしても補償されません。
この場合、ガソリンスタンドでそういった場面を想定した保険に加入しているでしょうから、そちらを使ってもらいましょうということになるのです。
過失割合に関係なく実損額が支払われる
人身傷害保険は自分の車に乗っていた人がケガや死亡してしまったときに、約款上の規定に従って損害額を計算し、その額を補償するものですが、その際、過失割合に関係なく、損害額の100%を補償するというのが特徴の1つです。
過失割合に関係なくというのはどういうことかというと、
例えば、車対車の事故によりあなたが大怪我を負ったあげく後遺障害状態となり、損害額が「3000万円」と算出されたとしましょう。
そして、過失割合は「自分:30% 相手:70%」だったとすると、あなたの損害に対する、それぞれの負担責任額は下記のとおりとなります。
もし人身傷害保険がなければ、自分が悪い900万円分は自己負担。
相手が悪い分の2100万円は、通常は示談成立後に相手の対人賠償保険から支払われることになります。
でも、人身傷害保険があればこのとおり
過失割合に関係なく補償されますので、
損害額3000万円が保険金として支払われることになります。
あなたの過失分である900万円はもちろんのこと、
相手の過失分の2100万円も保険会社が相手の代わりに立て替えて支払ってくれるのです。
ちなみに相手が支払うべき金額については立て替えてくれてるだけですので、
示談成立後に相手側から保険会社が回収することになりますので、
あなたが二重にもらえるわけではありません。
示談交渉が長期化してしまったり、相手に賠償能力がなかったとしても、
自分の保険会社が相手の過失分も立て替えて、先に支払ってくれるので安心ということですね。
家族は搭乗中以外も補償範囲にできる
(1)記名被保険者(2)記名被保険者の配偶者(3)記名被保険者またはその配偶者の同居親族(4)記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
上記(1)〜(4)は、自動車保険では「家族」と定義されている間柄となります。
契約車両に搭乗中以外(バイク、または家族所有の自動車搭乗中を除く)の自動車事故でケガや死亡してしまった場合も、この家族の範囲の人であれば補償対象とすることもできますので、この部分の補償も希望の場合は、契約時に保険会社に聞いてみましょう。
この部分を補償対象にしておくことによって、
下記ような場合、人身傷害保険から補償することができるようになります。
- 歩行中に車に轢かれてケガをしてしまった。
- 他人の車を運転中に事故をおこし自分がケガしてしまった。
- 自転車に乗っていたらバイクにぶつけられて転倒。ケガをした。
保険会社によっては、人身傷害保険を付帯すると自動的にこの部分の補償がついている場合もあります。この部分の補償が不要な場合は削除することも可能ですので、その旨をしっかり伝えるようにしましょう。
(注)保険会社によっては、この部分の補償がないほうが基本プランになっている場合もありますので、この部分の補償を希望する場合は、見積もりの際にその旨を伝える必要があります。
人身傷害の保険金を支払われない場合
契約車両に搭乗中の人が事故などでケガなどをすれば、何でも必ず補償するわけではありません。状況によっては人身傷害保険の補償対象外となる場合もあります。
ここでは保険金が支払われない代表的なケースをいくつか紹介しましょう。
被保険者の故意、または重大な過失
故意はもちろんのこと、重大な過失があった場合も補償されません。
重大な過失とはそれをやったら事故をおこすだろうと簡単に推測できるようなことをやってしまった場合や、ほとんど故意に近いと言えるようなことをした場合です。
例えば、「高速道路を走行中に助手席に座っていた者が
ふざけてサイドブレーキをおもいっきり引いたら、車がスピンしてしまった」
なんていうのは故意ではないにしろ、重大な過失と言えるのではないでしょうか。
無免許・酒気帯び・麻薬の影響を受けている状態で運転
対人・対物賠償では被害者救済の観点から補償対象となっていますが、
自分のほうへの補償はさすがに対象外となっています。
当然ながら、人身傷害から補償されないだけでなく刑事罰の対象となります。
地震・噴火・津波
この3つの天災は、他の保険と同じく人身傷害でも対象外です。
あまりにも大きな損害になる可能性があるため、これを対象としてしまうと
支払いができずに保険会社が潰れてしまうほどのリスクを抱えてしまうことになるからです。
最終更新日:2022年2月11日