生命保険に比べて、金額は小さいものの発覚リスクが低いため、自動車保険の保険金詐欺はひじょうに多く起こっていると言われています。
- 自分の車を隠し、盗まれたと申告して車両保険を使う。
- 自動車事故で怪我を負ったふりをして、治療費や休業損害の補償を受ける。
- 事故により車体が損傷。ついでに以前自分でぶつけた箇所も今回の事故によるものだと申告し、その部分の修理代も受け取る。
この他にも、いろいろな方法による自動車保険詐欺が発生しており、個人で行われるものもあれば、組織的なものまであって、これまでに数千億円の損害が出ていると考えられています。
先日、ある損保会社の方に聞いたのですが、実は修理工場が不正な請求を行う案件が相当な数あって、保険会社も対応を始めているんだとか。
その中でもここ数年で目立つようになってきたのが、レンタカー費用に関する不正請求。
昔はレンタカー業も行う自動車修理工場なんて多くはなかったと思うのですが、最近はレンタカー業の認可を取得して、代車用として持っている車をレンタカー登録し、入庫してくれた客にそれを貸し出すということをしている業者がかなり増えているんです。
なんでそんなことをするのかというと、客の自動車保険にレンタカー費用を補償する特約が付帯されていれば、自社でレンタカーを貸し出すことで、保険会社がその費用を出してくれるわけです。
普段はサービスの一貫として、客に代車を無料で出しているような業者でも、保険会社が払ってくれるのであれば、その時だけは費用がかかることにしようというわけです。
でも、あくまでも対象となるのはレンタカー登録された車を貸し出したときだけ。
いわゆる自家用登録の「工場代車」と呼ばれる車を貸し出したのでは、レンタカー費用特約の補償対象とならないために、わざわざレンタカー業の認可を取得して、レンタカー登録された車を貸し出すことをしているのです。
普段は客に代車費用の請求はしないのに、レンタカー費用の保険に入ってる場合だけ費用発生するってのはおかしい気もしますが、
修理工場だって客商売をやっているわけですし、代車費用はもらいたいけど、代車費用の保険に加入していない客は可哀想だから、その人の代車費用はサービスしときましょうっていう方針だと考えれば、問題ないような気もしますので、まあこの点は良しとしましょう。
でも、このレンタカー貸出に関して明らかな不正を行う業者がかなりいるわけですね。
例えば、せいぜい2~3日で修理が終わるような案件なのに、部品の取り寄せに時間がかかっている等と嘘をつき、そのまま車を預かり、客にレンタカーを貸し続けて、その費用を保険会社に請求するわけです。
酷いところだと、客に保険金詐欺を手伝わせようとする業者もいます。例えば、本当は10日で修理が終わって客に車を返しているのに、口裏を合わせ30日借りたことにして、30日分のレンタカー費用を保険会社に請求。その一部を客にキャッシュバックするんです。
こういった不正の疑いがある修理工場ですが、国内で10社とか20社とかのレベルではなく、なんと1000社以上もあるんだとか。
毎回レンタカー費用を支払限度日数ピッタリで請求してくる等、あからさまに不自然な請求をしてくることもあるらしく、当然ながらすでに保険会社にはマークされています。
現在、損保協会により不正請求の情報をデータベース化も進められており、損保業界全体で警察とも協力して、保険金詐欺の対策を強化していくようですので、保険金詐欺で逮捕される人が今まで以上に増えるかもしれませんね。
ちなみに詐欺の場合、逮捕されて有罪になれば、執行猶予がつくことは稀で、ほぼ実刑となり、最高10年以下の懲役刑となるそうです。
保険金詐欺というのは、契約者達が支払っている保険料の一部を騙し取る行為。当然ながらこういった詐欺行為によって、保険金支払いが増えてますので、それが最終的には契約者が支払う保険料の額にも繋がっています。
少しでも自動車保険の保険料が下がるよう、今後の損保業界と警察の対応には期待したいと思います。